全国の医学系学部を持つ大学、あるいは医科大学の定員数の中身を調べると、30%が女性になっています。ですが、実際に病院で女性医師と出合うことは非常に少ないのが実情。そのため、医師に対して「女医」という言い方がありますが、女医のほとんどは内科に在籍していることから、外科の女医を見つけることは非常に稀、と言わなければなりません。
「大門未知子は外科医じゃない?」とテレビドラマを鵜呑みにする方もいるでしょうが、あれはあくまでもフィクション。外科は執刀があり、これは非常に体力と集中力を使います。そのため、女性特有の休暇で執刀が延期されるわけにはなりません。
では、歯科医師はどうかといえば、医師とはまったく状況が異なります。全国27校29学部の歯学部定員数は合計2,430程度となっています。そして、実際に働いている女性歯科医は20%平均ですが、20代の女性医師は40%を超えています。
転職について考えてみましょう。まず、新卒歯科医師の多くは開業医のもとに入るか、実家を継ぐケースが多いのですが、それも出来ない場合は自分から開業することが常態化しています。2007年ころから、マスコミでは「ワーキングプア歯科医師」という記事が出回り始め、実際に開業しては見たものの、数百万円の医療機器のリース代が支払えず、破産してしまう歯科医師が増加してしまいました。
また、都市部では歯科医院が乱立してしまい、その数が多くなっていること、その逆に地方では高齢化で歯科医師が不足しているにもかかわらず、一向に歯科医師が地方では開業しないことなどの現実があります。
では、女性歯科医師は転職しにくい現実があるのでしょうか?実際にはそういうことはありません。そもそも、一般患者に取って男性歯科医だから安心、女性歯科医だと不安…と感じているのではありません。むしろ大事なのは、医師のもとで働く歯科衛生士とのコミュニケーションだといえます。
歯科医師は外科医ですから、大変な集中力を必要とします。また、麻酔医としても力がなければなりません。ですが、ほとんどの患者は歯科医師の腕がいいのか、歯科衛生士の腕が良いのかが分からないのです。ですから、女性歯科医の転職に必要なものは患者への麻酔の上手さ、と歯科衛生士との距離感の近さを十分に持つことでもあります。
男性高齢者は、特に若い女性歯科医師に未熟度を覚える傾向があります。歯科医師といえども、歯科衛生士並みに患者と向き合うことで、スキルは高まります。ぜひ、修練されて転職のハードルを超えていくべきです。