「歯科医師は格差社会」「新規開業歯科の5件に1件は夜逃げ」週刊誌の衝撃的な見出しが躍るようになって十数年、歯科医師受難の時代はまだまだ消えそうにありません。常識的に見て、目や歯は一生使うものであり、装具も数百年前から発達しています。加齢はメガネを必要としますし、口腔ケアにお金をかけなければ、おなかに穴を開ける手術をして、胃や腸にチューブを差し込まなければならなくなります。
つまり、歯科医師がいなければ、全ての医師はもっと忙しいことになりますし、ますます多くの疾病が蔓延するに違いありません。ですが、実際は歯科医師が多くなり過ぎて、患者の奪い合いをしている、と指摘されています。
まず、ここで考えたいことは多額の借金を抱えて開業された方でなければ、いそいで開業しない、ということです。なぜ医師の夜逃げが増えたか、という理由は「医療機器関係者のいいなりで」開業を急ぎ、多額の借金を抱えてしまったツケによるものが大きいのです。
世の中にはスターバックスやドトールのような珈琲専門店には、常に多くの人がいますが、顧客単価は数百円程度、それも結構くつろいで長時間居座っているように見受けられます。ですが、こうした店ではテイクアウト客のための商品も豊富に用意しています。つまり、店の中と店の外両方で利益を上げることで、帳尻を合わせているのです。
翻ってみて、歯科医はどうでしょうか?歯科医を予約しても、すぐに診療してもらえないのでは、忙しい会社員は行くことをためらいます。まず、一回の診療時間を提示すること、定時に診療ができること、そして珈琲店のように「顧客の習慣化」を誘う努力を行うことが必要です。
診療報酬はこれからどんどん上がる、わけはありません。ですが、高齢化社会は確実に虫歯保有者を増やしていきます。歯科医師会の調査では普段歯科医院にいかない6割程度は、虫歯を放ったらかしにしている、といいます。メタボ予防の労働者健診が義務化されていますので、それにならって、歯科医師が自ら健診宣伝を行うことが必要でしょう。
また、矯正需要は今後ますます上がるはずです。矯正のデメリットは前歯前面への装具という見栄えの悪さですが、最近は歯の裏側を裏側に装着する技術が発達しています。美容歯科や審美歯科の領域ではなく、矯正も一般歯科医の領域ですので、積極的に取り組むべきでしょう。矯正効果は口コミの拡散につながります。