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無痛歯科とはどういったもの??

mutsu
歯科クリニックでの治療といえば、リクライニングシートに仰向けになり、口を大きく開けて我慢…というのが定石です。面白いのは、患者の頭上から照明や機器が降りてきたり、やたらたくさんの電気コードと先端に付くドライバーのようなものが5本、6本と揃えてあったり…こればかりは職人のための設備だなあ、と考えさせられるものです。こうした一式の「ユニット」は、ある時は患者の歯に激痛をもたらし、ある時は子供を泣かします。それが「痛くない=無痛」とは、いったいどういうことでしょうか?

医師の世界では「麻酔科医」はいるが、歯科医の世界では?

歯科医の治療は、歯を削ることが多く、神経が通る部分に触れることから「局所麻酔」が欠かせません。おそらく誰もが経験するのが「口の中にガーゼや脱脂綿をたくさん入れられる」ことでしょう。歯肉に麻酔薬を塗り込み、染み込むまでガーゼで薬の流れるのを阻止するガーゼは、患者には「これから痛いのが始まるんだな…」という合図のような感覚に陥ります。

麻酔科医はオペでは絶対に欠かすことのできない存在です。全身麻酔は疾患を抱える患者にいつでも行えるわけではありません。時には、オペの予定時間ぎりぎりになって、麻酔を処置できない状態になることもしばしばです。そうなった場合は、麻酔科医の判断でオペは延期になります。そういった意味で、麻酔科医は一般内科医以上の知識を持っていなければならないのです。

これに比べて、歯科麻酔の場合は基本的に歯科医が麻酔科医を兼ねます。むろん、合併症や内臓疾患、あるいは精神科患者のケースでは、歯科麻酔科医が独立して処置に当たる場合もあります。例えば、歯科麻酔科専門医がいる都道府県は歯科大学があるところに限られており、東北では岩手歯科大学のある盛岡市にほとんど在籍しています。そもそも、歯科医が相手にする患者は、生命の危機状態にある訳ではなく、あくまでも口腔内の処置か、顎関節などの処置に限られます。そのため、歯科麻酔科医は「特異な患者」を相手にするケースでしか、仕事をしないのがほとんどなのです。

麻酔=無痛、ということなのか?

局所麻酔と言われる歯科の麻酔の場合、保険内診療と自由診療のどちらかを選ばなければなりません。え、麻酔ひとつにも「保険が利く、利かないがあるの?」と思われるでしょうが、患者のQOLを考えると、結果オーライなんだから保険内でも外でも構わないじゃないか、という歯科医が結構いるものです。

これは完全に間違った考察です。患者は歯科医は「歯を治すのは当たり前」と考えています。ダメなら別の歯医者に見て貰えばいいんだ…そう考えているのです。ですから、歯科医は患者に「麻酔はなんのために行うのか」「どういう方法なのか」を説明しましょう。

また、全身麻酔を行うことで「無痛」と称している歯科医もあれば、笑気(麻酔ガス)による精神鎮静法を取り入れることで「無痛」と考える歯科医師も多いようです。これは、患者にとって鼻腔を完全に覆われ、高濃度の酸素と麻酔ガスが送り込まれため、脳内ではこの前例のない現象に囚われ、患者の恐怖感を完全に取り払うことが可能です。ただ、これだけでは無痛と言えない、という歯科医の場合は、さらに治療ユニットそのものを変えて立ち向かわなければならないでしょう。

麻酔は不要?レーザー治療で解決か

レーザー治療といえば、エステサロンや美容外科、美容皮膚科ではよく使われている治療法です。詳しくはレーザー光の特性を使って、脱毛やシミ取りなどを行うことがよく知られています。エステサロンではレーザー光ではなく、フラッシュと呼ばれることがありますが、実際には力の弱いレーザー光を利用しているのは、業界では暗黙の了解です。

レーザー治療の特性は、何と言ってもエアタービンの「削る」音のないこと。ごく狭い光が発する熱だけが、神経に触れた時に痛みを生じますが、歯の根元に繁殖した細菌は、この熱で死滅させることが可能なので、人によっては歯の組織を再生させることなどが可能になっています。こうした治療はインプラントのような全身麻酔を必要としません。

患者は「無痛」の意味を全く知らない。治療が痛くないなら、その方がいいと考えるだけ

結論から言いましょう。レーザー治療でも痛いと感じる人は痛い。それはレーザーの得意技が何かを知っていなければ、せっかく数百万円かけて購入した機械も、意味がなくなってしまいます。歯肉を切り取るならば、レーザーは有効でしょう。審美歯科はそれが仕事の一つだからです。ですが、歯周病の場合はどうでしょうか?余程それにうまくなければ、レーザー治療はすべての歯科医に有効とは言えないでしょう。

根管治療専門医でレーザーを使っている歯科医は、2015年現在でも二桁ほどしかいないのが実情です。大事なことはエアタービンの上手な歯科医師が、完璧な麻酔を行えばよいのか、それとも麻酔そのものに費用と時間をかけず、スマートにレーザー治療に手腕を発揮して、無痛で終わらせられるのか…というどちらかになります。ですが、今後は痛くなく、腕が良く…という歯科医に患者が集まるのは明らかです。ぜひ、極める道をしっかり選ぶ、それが大事になってくるでしょう。

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