テレビコマーシャルで「口臭が気になりませんか?」という訴求方法で、対処商品をPRしている会社が増えています。古くはマウスウオッシュやガムがあり、食品にもきのこ類をメインに口臭予防効果のあるものが販売されています。
臭いに関する関心は、主に体臭やわきがなどがメインとなり、汗腺への処置をおこなう美容皮膚科が盛んに行っています。ですが、口腔ケアに基づく口臭には、歯科の領域であるために、一般歯科でも盛んに行われ始めています。
日本訪問歯科協会の公式サイトによれば、口臭は「生理的口臭、食べ物などによる外因的口臭、病的な口臭、心因的な口臭」などがあります。生理的口臭やドライマウス(嚥下、味覚障害など)舌苔(ぜったい)などでは卵の腐敗臭、歯周病では野菜や魚の腐敗臭、糖尿病ではアセトン臭(甘ったるい臭い)、胃潰瘍ではアンモニア臭が知られています。
ただ、口臭の95%は口腔内が原因といわれており、口臭(VSC=口臭ガス)の源は唾液や歯垢の中の細菌であることは確実です。つまり、臭いの元になる部分はやはり虫歯であったり、歯周病であったりするのは自明なのですが、多くの患者は歯が原因とは考えていないのです。ですから、口臭治療というカテゴリーは一般歯科医にとっても、審美歯科医にとっても新たな「需要の掘り起こし」につながり始めているのです。
では、歯科医師の多くは口臭外来をこぞって行っているのでしょうか?これは、患者を「作る」というわけではありませんが、潜在的に患者になりうる「症状のひとつ」が口臭なのだ、という事実を世間に広める上で、大変役に立っているのは事実です。
儲かるのか?といわれると、これが新たな診療報酬に結びついているわけではなく、実は従来からある診療方法でをしっかり患者に定期的に受診してもらう、という「誘い」にリンクしています。つまり、いままで歯痛でしか通院しなかった人が、口臭という新たな症状で、歯の治療に専念するきっかけになっている、といえるのです。
歯科選びは、一般社会では「とりあえず良さそうなところへ通院してみる」「評判の良いところは混んでいるらしい」「駅前なら通うのに便利…」などと曖昧な理由で通院するものです。ですが、口臭外来を行っている歯科医院の場合は、特にサイト開設などして、治療方法をしっかり訴求しています。ですから、転職する場合も、こうした情報公開のしっかりした医院で研鑽を積むのが一番ではないでしょうか。