医療クラーク、歯科医院クラークは美人が多い…これは都市伝説でもなんでもありません。受付という業種そのものは美人である方がよい、これはどの企業でも慣習となっています。これは男性目線だけの話でしょうか?受付の持つ歯科クリニック経営術について記載します。
医療クラークの仕事は、企業の受付とは仕事内容が違います。一般企業でも東証一部上場企業ともなれば、本社ビル受付には2人から3人の受付担当が待機し、来客の取次から様々な企業への侵入者の監視など、多くのセキュリティの最前線に立ちます。
実は、今やクラーク職はどんな職種でも、アクセスするクライアントとの第一面接担当者になりつつあります。面接、というと大げさですが、実際には企業のイメージアップのために置かれる職種である一方、企業を守る防御システムを操らなければなりません。防御とは何も「強盗犯」「総会屋」などから会社を守るということではありません。こういうことは専門のガードマンが事前に察知しますが、一番厄介なのが「受付嬢」を籠絡させて、企業内情報を手に入れるという昔からの手口です。
「遠山の金さん」「鬼平犯科帳」などの時代劇では、江戸の金貸しに内偵代わりの女性が働きに入り、内部情報を嗅ぎ取って親分につないで、金庫の隠し場所と鍵をそっくり頂く場面が出てきます。つまり、400年前から、受付や女中さんのやっていることは変わらないのです。
歯科の場合、クラークを選ぶのは院長か、その奥方(男性歯科医師の場合)です。審美歯科の場合は100%見た目重視で選ばれます。それもそのはず、美容歯科・審美歯科で歯並びの悪いクラークだと、患者は心配になるからという理由と、ほぼ男性院長の「選球眼」によります。
一般歯科を開業している院長の場合、奥方は経理を担当することが多く、歯科衛生士や歯科助手、クラークの給与額を決めたり、採用に立ち会うことが多くあります。医師や歯科医師は6年間学業に身を費やし、多額の学費を支払って卒業し、国家資格試験を勝ち抜いてくるわけで、他の学部生よりもコミュニケーションの場が狭いのが実態です。総合大学の歯学部でも、部活は歯学部だけになるため、狭いコミュニティーの中で20代を生きていかなければならず、人によっては男女関係が固定的なサークルになってしまうことがよくあります。よく、お見合いサークルの中で「医師・歯科医師専門」というものがありますが、出会いの少なさから、歯科医師もこうした内輪のサークルで知り合った女性と結婚するケースが少なくないことは、よく知られています。
こうした実情の中では、歯科医師は「美人顔」が周りにいる環境が慣習となって行きます。これは、職業上の傾向なのです。ただ、歯科医師の奥方となったあかつきには、美人クラークを雇用することへの強い「阻止力」が働きます。狭い範囲での人間関係で頑張ってきた歯科医師の多くは、結婚後もどうしても働きづめのなりがちです。そうなれば、どうしても身近に置く女性スタッフの笑顔に逆に籠絡されてしまうことも否定できません。
福岡市博多区にある「福岡医健専門学校」。ここは、看護師・作業療法士・理学療法士、から歯科衛生士・医療クラークを作り出す「医療事務ビジネス科」に至るまで、様々な学生を社会に送り出している専修学校のひとつです。医療クラークの場合は人物そのものを磨かなければならないことと、レセプト打ち込みや予約受付など、様々な仕事を即戦力として行わなければなりません。
この専門学校では医療クラークの場合は、医療系の「メイクアップ」講座があり、コスチュームに合わせるメイクアップや、小児から高齢者まで受けが良いメイクの方法が徹底的に学習できます。例えば、県立病院の多くはクラークが派遣社員であることが多くなり「ニチイ学館」と書かれたネームタグを付けた女性が、テキパキと事務処理を行うことを目にするのが多くなっています。
よく見てみると、総合病院は「美人」度云々ではなく、処理能力の高さが問われます。時間内にどれだけの患者を待たせずに「処理」できるのか…これが大規模病院のクラークの職責ですが、歯科クリニックの場合は、泣き出す子供やその兄弟をかまってあげたり、付き添いの親を安心させたりと、歯科助手の代わりもしなければなりません。結果的に「笑顔」美人が選ばれるのです。
歯科クラークが美人顔で「売る」もののひとつ、それは歯科医師推薦の「歯磨き粉」です。歯科医師は「治療後は、しばらくこの製品がオススメです」と言うことがあります。直接販売するわけではありませんが、クラークさんが駄目押しで「歯磨き粉は?」と笑顔で患者さんに勧めるわけです。この際の美人顔が、次の顧客を連れてくるかどうかの試金石。つまり、美人ではなく、リピート客と紹介客を引っ張れるクラークかどうか、そのための美人かどうか…なのです。