歯科医師の転職とは、タイミングが非常に難しいと言われます。おそらく、大学を出てそのまま開業する歯科医はまず皆無でしょう。「実家が歯科クリニックだから」…あるいは「内科を開業している実家に新たに歯科医院を併設する」…などというケースもあるにはあるでしょう。ですが、親が公務員やサラリーマンの場合は、子供がたまたま歯学部に入学した場合、援助できるのは学費程度で、まさか開業資金まで全額支援できることはまずありえません。ということは、最初に丁稚奉公したクリニックで、いかに「技術」「経営」を学ぶか…これにかかってくるのです。
転職エージェントにとって、医師は儲かるが歯科医は儲からない…これが業界の常識です。なら、どうして歯科医師を紹介するメリットがあるの?そう思う方は圧倒的でしょう。実を言えば、登録した歯科医に求人案内を提示し、契約が成立した場合に雇用主であるクリニックから紹介料をいただく…これはエージェントとして全く当たり前の行為です。ですが、ここで終わってしまえば、そのエージェントは以後仕事がなくなる可能性が高くなっていきます。
「取りあえず、求人があるから登録歯科医をそこへぶち込んでしまおう…」などと、ひどいことを企むエージェントが過去になかったわけではありません。また、紹介したよいが、院長が雇用した医師を朝から晩まで働かせて、アシスタント代わりに使っていた…というケースもあります。医師なら前期後期の研修医制度があるのだから、歯科医師もそのくらい当たり前…そう考えるクリニックの院長兼経営者は思うのでしょう。
ですが、訪問歯科の必要性が高まるにつれ、だんだんと悪質なエージェントも歯科医師紹介だけは儲からない…と感じるようになってきたようです。以前のような悪辣なエージェントは淘汰されています。今生き残っているエージェントの多くは、M&Aを手がけたり、歯科医師専門の建築デザイナーとパートナーであったり、経営コンサルタントを行っています。つまり、歯科業界の生き字引のようなコンサルタントでなければ、実際に歯科医師の右上にはなれない時代なのです。
混合医療は歯科医の中では当たり前の社会です。詰め物の材質ひとつに診療報酬制度は細かく立ち入ってきますが、補綴は未だに70万円、90万円などと自由診療で成り立ちます。歯科医師は、患者の顔の個性にあまりにも関心がなさすぎるようです。歯を揃えることで、どれだけその患者の「第一印象」が変わるのか、シミュレーションする歯科医院はまず美容歯科医院に限られます。
歯並びをよくする目的が「外見」ならば、自由診療範囲の審美歯科、美容歯科でも構わないでしょう。問題は口腔外科の立場からの臨床です。噛み合わせの悪さが引き起こすのは、実に多くの内部疾患です。常に歯に隙間がある患者の多くは口腔からの吸引が多く見られます。感染症の原因はまず食道の炎症から広がる傾向が強いことから、どの医師も鼻から呼吸することを勧めます。
鼻で息ができない大きな理由は「アレルギー性鼻炎」がもっとも多く、これは遺伝病だと勘違いする人が多く見られます。ですが、実際に、アレルギー症状は自己免疫力に依るところが大きく、そのためアレルギー性疾患のない人の「便」を患者に入れることで、症状は改善することがアメリカで立証されています。この便は、わずかな量でもその60%は細菌で構成され、自己免疫力を高める作用が含まれています。
歯科医師はもともと「医学」を学んでいるからこそ、6年間の大学生活を送っているのではありませんか?ならば、診療報酬には関係なくても、医療の分野に患者を引き込むのは間違ったことではありません。自分は歯科医だから…医師ではないから…と臨床医としての見立てに言及しないのは、勿体無い話です。歯を治すだけ、歯を磨くだけ…それならば、医師にとって「歯だけは治療行為を認めてやろう」と利用される立場にいるのと同じではないでしょうか?
ファーストナビの前身は、あのエムスリーキャリアに「買収」された会社。エムスリーといえば、ソニーの社内カンパニーとして大きく育った企業であり、現在の医師転職エージェントの御三家の一角を占めています。ですが、ソニーといえども、歯科医師マーケットには不安があったかに見えます。
ファーストナビはその創立者メンバーが本社を札幌に移して、エージェント活動を行っています。札幌は日本一の医療業界激戦区であり、歯科医師の数と歯科クリニックの数は、人口比で大変な戦国時代を続けています。だからこそ、信頼できるエージェントしか生き残れないわけですから、絶対の信頼は約束できるはずなのです。